鮎は稚魚の時期には昆虫などを餌とするが、川をさかのぼって成魚となると、川底の岩石に付いた藻類しか食べない。このため普通の餌釣りができない。そこで昔からさまざまな漁法が工夫された。縄張りを持って侵入する仲間を追い払う習性を利用しての友釣り、魚群の中に数本の釣り針を付け、投げ込んで引っ掛けるコロガシ、ごろ引き、そしてウ飼いや簗など。その中で、ちょん掛けはまさに番匠川漁師の知恵と巧みの産物。水質が良く、透明度が高い清流ならではの漁法と言えよう。
鮎の名は、秋に川を下る、つまり、あゆる(落ちる)魚が起源とも言う。1年限りの命のため年魚とか、香りがあるので香魚、さらに細かいうろこで細鱗魚とも。鮎の文字は縄張りを「占める」、あるいは神功皇后伝説で「占い」に使われたから当てられたというが、古代日本や中国では本来、ナマズのこととか。