ヒガンバナ科の多年草で、花の様子が木綿に似ていることから名前がある。木綿はコウゾなどの樹皮を細かく裂いて作った繊維で、祭りの際などの幣に垂らす。由布岳が古く木綿山と書かれたのも、由布院盆地が木綿の産地だったからと言う。別名のハマオモト(浜万年青)は、肉厚の青い葉がオモトに似ていることから。
水はけの良い日当たりに恵まれた海浜を好み、太い茎のような円筒状の幹の周りに大きな葉を広げる。開花期は夏。葉の真ん中から出た茎の上に多数の白い花を散形に開く。まさにヒガンバナ科である。日没ごろから強い香りを放って蛾を呼び寄せる。
蒲江では江武戸公園、高山海岸、波当津海岸、屋形島、米水津では間越海岸などに多く、20万株を超えるというが、現在も地域づくり運動などで植栽されており、数はさらに増えそうだ。
積極的な植え付けが始まったのは、1971(昭和46)年に蒲江高校の生徒たちによる「ハマユウ運動」がきっかけらしい。それが地区全体に広がり、地域おこしに連動した花いっぱい運動として開花した。今では中学生まで参加していると聞く。
ハマユウだけではない。海の町にふさわしい海浜植物の増殖・保護活動を繰り広げ、地域づくり総務大臣賞も受けた。砂浜の環境に育つだけにハマユウの根は深く入るが、地域づくりもしっかり根付く。
地区内では、何かにつけてハマユウの名が目立つ。花言葉は「どこか遠くに」。行って見たいな。