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津久見扇子踊り

写真/竹内康訓

華やか伝統の舞

 津久見は豊富な石灰岩と名産のミカンによって「白と黄色の町」とも呼ばれるが、その町が8月末の一夜、豪華絢爛な極彩色の踊りに彩られ、市民だけでなく多くの見物客を迎えて盛り上がる。

 名物の伝統芸能「津久見扇子踊り」である。扇子踊りは京舞の流れをくむ盆の踊り。450年ほど前、大友氏の支配していた時代に始まるというが、津久見は宗麟の没した地であり、墓地もあって、創始は宗麟に帰せられることが多い。戦国の戦死者や農民の供養のためと伝えられる。

 踊りの基本は扇子を回しながら、優雅な身のこなしで列をつくって前に進んで行くこと。扇子は右手の親指と人さし指で軽く持ち、手首を縦8文字にひねって回す。回すだけではない。手鏡を見るような場面もあれば、構えることもある。

 目立つのは馬に乗って出陣する、弓を引く、前後左右の敵に立ち向かうなど、いろいろな動作があること。そのポーズの一つ一つにはすべて意味があるとされ、いかにも戦国時代に生まれた踊りらしい。それでいて優雅である。勇壮で華麗ながら、どことなく哀歓も伴う。

 「扇子踊り大会」には、踊り保存会の人たちや、市の代表として「踊り娘」に認定された人たちを中心に、市内の各地域、事業所、子供会、各種団体などが参加する。

 三味線、太鼓、尺八などの演奏に「ヨーヤセーヨヤセ」の歌声が印象的だ。扇子踊りのほか、三勝、津久見音頭も踊られるし、中休みのアトラクションでは「樫の実少年少女合唱団」が美声を披露する。

 津久見市だけでなく大分県の代表的な伝統の踊りであり、高知の「よさこい祭り」ゲスト出演のほか、海外でも公演した。

扇子を回しながら優雅に舞う市民ら。「踊り娘」に認定された人たちを中心に、津久見市内の事業所、子供会などが参加する。