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姫島のアサギマダラ

写真/竹内康訓

千キロ飛ぶ数千匹

 国東半島沖に浮かぶ姫島は、九州と中国地方、また周防灘と瀬戸内海を結ぶ海の十字路であり、船にとっては島そのものが灯台の役を果たしているが、そこはまた、南北に1000キロ以上を移動する渡りのチョウ・アサギマダラにとっても大切な島。今では日本一の中継・休息地として知られるようになった。

 アサギマダラの漢字表記は浅葱斑。浅葱は若いネギのような薄い青緑色で、それが斑模様となってチョウの羽を彩る。日本列島から南は台湾にかけて、遠距離移動をするチョウである。

 姫島に飛来するのは初夏と秋の二度。初夏は5月から6月にかけて、島の北西部にある「みつけ海岸」でスナビキソウを求めてみつを吸い、秋は10月を中心にフジバカマの咲く東部の金地区に集まる。その数は少ない年でも数百匹、多い時には数千匹にも達する。細かく羽ばたくこともなく、ふわふわと楽しげに滑空し、人を恐れる様子もなく、観察にはもってこい。

 分布は日本列島から朝鮮半島や中国大陸、台湾など南の島からヒマラヤ山脈まで。日本で見られるのは本土と南西諸島、台湾の間を往復するもの。春に北上し秋に南下する。

 姫島では「守る会」の人たちや小学校の児童たちが観察やマーキングをしている。それによって「姫島マーク」が北では2週間後におよそ660キロ離れた能登半島の先端、南は2ヵ月後に約1300キロ遠い八重山列島で見つかっているが、実際はもっと移動しているらしい。研究者によると直線距離で1500〜2000キロ、1日に200キロを移動したチョウもいた。

 子供たちはマーキングするとき、併せて「夢」を乗せていることだろう。姫島には韓国とのつながりを持つ伝説があり、姫島踊りには南の香があるとも言う「国際的」なところだ。

幼虫から羽化する瞬間。