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鷹鳥屋神社の森

写真/竹内康訓

典型的な原風景

 佐伯市宇目は山の中。ご存じ「宇目の唄げんか」は「山が高うち在所が見えん…」と、子守娘の悲哀を歌う。高いと言っても高山というわけではないが、山々はかなり険しく懐が深い。そうした山の一つに鷹鳥屋(たかとりや、または、たかとや)山(639メートル)がある。山頂部に神社が鎮座し、一帯は県指定天然記念物の自然林で覆われる。

 神社近くまで車道が通ずる。大きな杉の並木となっている参道をたどると、こま犬の代わりに鷹が迎えてくれる。そして山頂へ。境内林から国有林にかけ、一部にモミの林があるものの、大半はウラジロガシを含むアカガシ林で、亜高木層、低木層にイスノキ、ヤブツバキ、サカキ、ユズリハ、ハイノキなどが生い茂り、常緑樹が優先する。サザンカも自生する。ヤブコウジ、ベニシダなども見かけられよう。

 常緑広葉樹林は西南日本の典型的な森。いわば日本列島の原風景である。民族の祖先たちは、このような森の中で長い年月を経てきた。里の鎮守の森はその名残だろうが、ここにはいまだ手付かずの森があり、「時の重み」を身をもって受け止め、太古に戻ったと錯覚するし、人によっては神気さえ感じられよう。

 神社の歴史も古い。伝説によると、昔、越中立山にいた矢野氏が紀州熊野に移った際、筑紫(九州)へ行けとの神告を受け、1275(建治元)年、府内で大友氏に仕えた。そこで今度は豊後の南を守れとの命をもらって宇目に来た時、権現の使いとおぼしき2羽の白いタカに導かれ、この山にたどり着いたとか。今の宮司は県南落語組合や旧宇目町、佐伯市観光大使を務めたことで知られる矢野大和氏である。

 宇目を代表する祭の一つに椿原祭典がある。鷹鳥屋神社が中心となり、みこしが山を発して中津留の遥拝所まで下り、小野市地区の郷社27社を集めての盛大な祭りが開催される。

山頂部に神社が鎮座し、一帯は県指定天然記念物の自然林で覆われる佐伯市宇目の鷹鳥屋山。