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風連鍾乳洞

写真/宮地泰彦

日本一の美しさ

 大分県の南部には石灰岩の山並みが連なる。津久見市では採掘が盛んで、八戸のカルスト台地が知られるが、そこからさらに九州山地にかけて、内陸部と海岸部を隔てて秩父古生層と呼ばれる石灰岩地層が続く。
 石灰岩は白く見える。このため白山、白谷、白岩などの地名が多く、それが続いて大分県の「ホワイト・ライン」とも呼ばれるが、同時に石灰岩は水に溶けやすく、あちこちに鍾乳洞を開口している。例えば、南側の佐伯市には小半洞、狩生洞などがあり、北側には豊後大野市の稲積水中洞、そして日本一の美しさとたたえられる臼杵市野津町の風連鍾乳洞である。
 風連洞は1926(大正15)年に発見され、その後すぐに国の天然記念物に指定された。旧洞と新洞があり、長さはおよそ500メートル。「閉塞型」と言われ、外気の流入が少なくて風化が抑制されたことや、発見されるまで人の手が入らなかったことなどで自然の姿がよく守られ、見事に成長した鍾乳石ときれいな白色が保たれている。
 入るとまず「亀さん」の姿をした鍾乳石が迎えてくれる。「瑞雲の滝」「幽香連峰」「霊妙閣」「白銀城」「天上閣」など、なるほどと思わせる名付けのさまざまな鍾乳石石筍、石柱、壁が、滝となったり、峰々となったり、宮殿に見えたりする。圧巻は最も奥に広がる「竜宮城」だろう。中央 の競秀峰や四囲が、黄金に、純白に輝き、これが大地の胎内かと、しばしたたずむ。
 ヘリタイトは貴重。鍾乳石は水滴のしたたりで成長するが、水滴の落下方向とは無関係に、まるで絞り出されたかのように側方に成長する。なかには曲がりくねって10センチほど伸びたものも。紡錘虫の化石も多い。 国道10号沿いにあり、歩道がほぼ水平で歩きやすく、楽に「地底探検」気分を味わえる。

長さ500メートルの地下世界へ誘う。