• 豊肥
  • 景観

原尻の滝

写真/宮地泰彦

ナイアガラの愛称

 豊後大野市緒方町の中心部は「緒方五千石」と呼ばれる米どころ。その東西に長い逆S字状の平野の真ん中を緒方川が流れ、原尻の滝がかかる。上流は岩盤がむき出しになった平らな河床だが、下流は一転して峡谷となる。劇的とも言える川の様相の変化がここに見られる。
 先に紹介した沈堕の滝が地形的にも近寄りがたい場所にあったのに比べ、原尻の滝は自動車でも行け、楽に見物できる。平野のど真ん中にこれほど雄大な滝がかかっていようとは、近づくまでは信じられないほど。
 上からは足元に飛瀑を見下ろし、下からも河原に近寄りやすい。滝つぼには探勝のボートも訪れるし、滝見物のつり橋もゆらゆら。「道の駅」の展示場や物産販売所、食堂もあり、四季を通じて訪れる人の絶えない観光地だ。
 滝は高さ約20メートル、幅約120メートル。沈堕の滝と同様に横幅が広く、阿蘇溶岩の落ち口が弓なりに弧を描き、「大分のナイアガラ」の愛称で親しまれている。『豊後国志』は「飛流簾のごとく、瀟洒愛すべし」と描く。「日本の滝百選」の一つ。
 滝のすぐ上から水路が引かれている。緒方下井路で、上井路とともに平野をかんがいする。江戸期、阿蘇山の噴火や干ばつ、虫害などが村を襲ったのを機に、岡藩によって開削され「五千石」の美田を生み出した。のどかに回る水車がほほ笑ましい。
 滝を中心に、豊かな田園地帯では多くのイベントが催される。春は約50万本を超すチューリップが滝の周辺を彩り、夏には1万3000本というともしびがゆらめく小松明火祭りが幻想的。秋には、滝の落ち口のすぐ上手をふんどし姿の男衆がみこしを担いで水流を渡る勇壮な川越祭。
 また、滝近くには古代豊後武士団の棟梁・緒方惟栄の館跡と伝えられるところもあり、宮迫の東・西石仏にも道が通ずる。

滝を中心に多くのイベントがあり、四季を通じて訪れる人の絶えない観光地となっている。