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九重“夢”大吊橋と九酔渓

写真/宮地泰彦

大パノラマ絶景

 くじゅう山群の麓に広がる九重町飯田高原の台地北端は、高い断崖となって切れ落ち、そこを断ち割って流下するのが筑後川の源流ともなる鳴子川。少し下流の九酔渓とともに、大分県を代表する初夏の新緑と秋の紅葉の名所である。
 その峡谷に2006(平成18)年10月、大吊橋が姿を見せた。水面からの高さ173メートル、長さ390メートル、幅1.5メートル。歩行者専用のつり橋として日本一。大人1800人の荷重と、風速65メートル、震度7まで耐えられる。主塔から延びて重さ312トンの橋桁を支えるメーンワイヤは直径53ミリを7本束ねている。
 開通以来、多くの人が押し寄せ、多少の揺れを楽しむとともに、見下ろす谷間の景観に驚嘆する。上流に見えるのが、高原の台地から落下する落差83メートル、「日本の滝百選」の震動の滝。眼下は季節によって緑、あるいは赤に、と変化する。
 下流で合流する玖珠川にあるのが九酔渓。十三曲がりと呼ばれる道が断崖に通じ、人や車はこれを曲折して上り下り、新緑の緑と紅葉の赤を見上げ、あるいは見下ろす。ちなみに、鳴子川は瀬音の響く川で、かつて鳴川と書いてナルコと読ませたが、川をコ、コウと呼ぶのが忘れられて鳴子となった。九酔渓は九電の前身、九州水力発電に由来するとも。
 「夢」は一般からの公募によるが、それに九重町、地元民の夢が懸けられていたことは間違いない。発想は地元住民で、まさに夢のような話と思われてきたが、町当局はそれを取り上げ、約20億円を投じた。平成の市町村大合併を拒否し、「自立・自律の町」を目指した上のことである。そして、それは多くの来訪者により報われている。
 収入は福祉はじめ多方面の事業に回され、商工会など地域住民たちは特産品の開発、販売などに、大きな夢を描いている。

歩行者専用つり橋として日本一を誇る“夢”大吊橋と、新緑と紅葉の名所である九酔渓。