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どぶろく祭り

写真/石松健男

天下御免の味わい

 杵築市大田の白鬚田原神社で行われる。どぶろくは濁り酒。モロミを濾し取らない白く濁った酒で、言わば日本酒の最初の姿である。そして古く、酒は神と人が共に頂き酔うものだった。その点で、どぶろく祭りは神人共食の酒と祭りの原風景とも言えようか。
 祭りは毎年10月の17、18日に行われる。実りの秋に豊作への感謝を込めて酒を造る。酒は日本の米のエキスである。それを神に捧げ、共に味わい、参拝者にも振る舞う。当日の境内は、まさにどぶろくの解放区である。
 解放区であるがゆえに「天下御免」とも呼ばれる。しかし、近代日本には酒税法があって、誰でも勝手放題に酒を造ることは許されない。このため各地のお宮では、同じ実りへの感謝でも、アルコールのない甘酒などで対応してきた。 ところが白鬚神社の場合は伝統の神事。そこで特別に許可されたのがどぶろく祭りなのである。祭りは醸造の開始とともに始まる。潔斎した氏子によって、厳粛なしきたりにのっとって醸される。
 「未通女らが噛みし旨酒」の歌もあるように、酒を醸す最初は神聖な女性によって米を噛み砕くことに始まった。醸造法は変わったが、酒造りが神聖な祭事であることに変わりはない。
 さて当日、訪れた参拝者には分け隔てなくどぶろくが振る舞われる。ただし、年によって酒の味に微妙な違いがある。今年の味はどうだろうか。
 思わず振る舞い酒のみに注目したが、酒の仕込みから祭りにかけて、トウヤと呼ばれる人たちが主体となって取り仕切る習わしは「国東のとうや行事」の一つとして国の選択無形民俗文化財だ。
 解放区とは言え、車を乗り付けての飲酒運転はご法度。かつては酒の境内からの持ち出しは禁止だったが、今は飲酒運転追放のため持ち帰りも認められている。さらに神社名によって、近年は鬚自慢コンクールもある。

杵築市大田の白鬚田原神社。