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くじゅう連山のミヤマキリシマ

写真/竹内康訓

咲き誇るピンク

 「ミヤマキリシマ咲き誇り、山紅に…」と歌われるように、くじゅう連山に花の絨毯が敷きつめられる。アケボノツツジ、シャクナゲと、花の開花期を追って開かれた大分の山々も、この花を迎えてのくじゅう山開きで、梅雨をはさんで本格的な夏山となる。
 漢字で書けば深山霧島。深山は高山性植物であることを指し、霧島はもちろん霧島山。だが、霧島に限らず阿蘇山、雲仙岳にも群落を持ち、今ではくじゅうが全国的に有名となった。
 ツツジの一種で、標高およそ1000メートル以上に自生し、背丈もせいぜい1メートルぐらい。地を這うように群落を作る。枝先に2、3個ずつの薄紅色の花をつけるが、色は赤や紫がかったものから、時には白花まで見かけるように、ところによって微妙に違う。
 くじゅう連山では最高峰の中岳から久住山、三俣山、星生山、さらに牧の戸峠など、どこででも見られると言ってよいが、特に群落の多いのが大船山と平治岳。大船山は江戸時代の『豊後国志』にツツジが名物として早くも紹介されている。近年はお隣の平治岳の群落が脚光を浴び、登山者が殺到する。県内ではほかに鶴見岳や万年山にも多いが、日出町の経塚山は600メートル級なのに小さな群落を見せて5月中旬に開花する。
 キリシマの群落は火山活動によって生態系が乱された山肌に多い。つまり雑木などの少ないところが生育に適しているわけで、火山活動が終わって長い年月を経て樹林が広がると姿を消すことになろう。ともすれば群落を覆うように育つヤシャブシなどを切り、害虫である尺取虫の一種などを駆除する必要もある。野焼きでくじゅうの美しい草原が守られるように、名花ミヤマキリシマにも人の力添えがいる。

国の天然記念物に大船山のミヤマキリシマ群落として指定されている。