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高崎山

写真/石松健男

別府湾のシンボル

 大分市の西のはずれ、別府市との境近くに、別府湾に面して立つのが高崎山。標高628メートル。両市の市街地からいや応なしに目に付くヘルメット形の急傾斜の山で、文字通り海に高く突き出した崎であり、航行する船にとっては絶好の目印。別府湾のシンボルでもある。

 山容がタキギのしばを積み上げたような姿であることから、昔は柴積山とか柴津山とも呼ばれ、これが詩歌に詠まれる際に四極山となったらしい。『万葉集』にある高市黒人の「四極山打ち越え見れば笠縫の島漕ぎ隠る棚無し小舟」の歌はこの山のことだとも言う。

 古代には豊後国府に連絡するための烽火台が置かれ、中世には大友氏の城が設けられた。今も山頂に見られる石積みの大きな穴は、この烽火の釜だと語られているが、あるいは城の水槽だったかもしれない。南北朝の時代には合戦の記録もあり、現在も山頂部に防塁や竪堀など 城構えの跡が残っている。

 自然も比較的に良く残されているが、高崎山と言えば野生の猿をすぐに思い起こす。古い記録にも猿が多くすむと書かれている。戦後、餌付けが行われ、自然動物園として観光資源、あるいは生態研究の場ともなった。

 猿寄せ場は古くから座禅修行で知られた万寿寺別院の境内で、海岸には生態水族館マリーンパレス「うみたまご」も立地する。国道10号・別大国道沿いで交通の便も良い。

 だが、海辺に国道が通じたのは近代のこと。以前は海際に狭くて危険ながけ道があっただけ。往来する人がすれ違うのも大変で、人の姿が見えると互いに声を掛け合って広いところで待ったとさえいう。このため江戸時代までは山の南を越すのが普通で、これが銭瓶峠・赤松峠。黒人が「打ち越え」たとすれば、この道である。 現在、 峠の近くを大分自動車道が走る。さしずめ古い公道が今に復活したとの感がある。

高崎山にすむ野生の猿。生息地として、国の天然記念物に指定されている。