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二王座 歴史の道

写真/竹内康訓

時の重み感じて

 臼杵の旧城下町をめぐる散策は楽しい。国土交通省の「都市景観100選」に選ばれた町並みである。大友宗麟の丹生島城に始まり、江戸期に臼杵藩・稲葉氏によって造られた基本的な町筋は、歴史の風に吹かれ、時の重みを感じ取りながら歩きたいところ。
 稲葉家下屋敷などを起点に唐人町、畳屋町、田町など「町八町」へ進めば、商家のたたずまいなどそれぞれに特徴を持ち、野上弥生子文学記念館、久家の大蔵などもあるが、さらに八町大路などから南へ入って凝灰岩の丘を中心とするあたりが「二王座歴史の道」で、昔にタイムスリップした思いを味わわせてくれる。
 田町から入った甚吉坂は、薩摩の島津氏が攻め込んだ時、大友家臣の吉岡甚吉が奮戦した場所。お休み処・旧真光寺のあたりが切り通しで、石畳道に白い漆喰の壁、重量感のある瓦をのせた武家屋敷、軒を連ねるたくさんの寺が続く。再びお休み処の稲葉秀道屋敷跡、長屋門や「サーラ・デ・うすき」がある。南蛮資料などで勉強できる。
 丘に登れば旧斎藤家。2人の子供を抱えた不遇のお福を稲葉氏が引き取り、ゆかりの屋敷に住まわせたところという。彼女はのちに徳川家光の乳母となった春日局その人である。丸毛家は上級武士の屋敷で、格式を重んじた建築である。 臼杵市で全国町並みゼミが開かれたのは1983(昭和58)年。市民が「臼杵の歴史景観を守る会」などで積極的に町並みを考えていたからで、以来、市民運動と行政によって文化財を守るとともに、伝統を生かした新しい施設や賑わいの創出が図られている。その成果が歴史の道でもある。
 雨の日も良い。石畳道が黒く光る。竹宵の夜は幻想的だ。昼も夜も、四季おりおりに訪れたい。

昔にタイムスリップした思いを味わわせてくれる「二王座歴史の道」。四季おりおりに情緒ある町並み。