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ジオパーク

写真/竹内康訓

太古からの「大地の遺産」

 「大地の公園」はジオパークを表現するときによく使われる。ジオパークは「geology(地質学)」と「park(公園)」からつくられた造語。地球活動にかかわる自然遺産に触れ、それを現代に生かすのがねらいだ。

 2004(平成16)年、ユネスコの支援で「世界ジオパークネットワーク」が世界中の自然景観を対象に認定を始めた。「おおいた豊後大野」「おおいた姫島」のジオパークはその国内版。2013(平成25)年、「日本ジオパーク委員会」の認定を受けた。
 豊後大野のルーツは太古にさかのぼる。約9万年前、阿蘇山の巨大噴火で、大火砕流が噴出した。700度にも達する高温の火砕流が九州の北半分を覆い、「無」の状態になったと考えられている。
 火砕流は冷えて固まり、溶結凝灰岩の大地をつくった。それが水流に削られ、壁のように崩れ落ちたのが「原尻の滝」や「沈堕の滝」。固まるときに岩の体積が収縮し、規則的にひび割れたのが「滞迫峡」や「杓子岩」の柱状節理の断崖。いずれも豊後大野ジオパークを代表する景観である。
 姫島は約20万年前からの火山活動で生まれた。島内には7つの火山の火口跡と溶岩ドームがある。大海海岸では、大地の変動の跡がダイナミックに残る地層褶曲が見える。観音崎には、先史時代に石器の原料となった黒曜石の断崖が残る。火山性の鉱物に富み、地層・地形研究の宝庫といわれるのもうなずける。
 ジオパークを巡ってみよう。豊後大野は約603平方キロメートルの広大な地域に、地形や景観を眺めるジオサイトが21カ所。アーチ式石橋、溶結凝灰岩からつくりだした磨崖仏のジオサイトもある。それを巡ると、大地の鼓動を聞き、石の文化に触れる観光コースにもなる。
 姫島のジオサイトには、日本列島を縦断する渡りのチョウ・アサギマダラの休息地もある。黒曜石の断崖で太古の歴史に触れ、アサギマダラの休息地で自然を楽しむ。ジオパークとツーリズムを組み合わせたジオツアーだ。「大地の遺産」を観光につなぐ。ジオパークから新たな地域づくりが始まった。

柱状節理が見られる杓子岩(写真上)、姫島七不思議のひとつである千人堂と、露出した黒曜石(写真下)。